どんなに優秀な選手でも1ヶ月練習した程度ではマラソンは走り切ることはできません。
最低でも4ヶ月、競技者として結果を残すためには6ヶ月ものマラソントレーニングを行う必要があります。
マラソンはそれだけ難しいものだから完走した時の感動は他では味わえないのです。
このブログではマラソンを完走するための4ヶ月間のトレーニングを
どこよりも詳しく解説します。
この記事のトレーニングプログラムの監修は、
ランニングコーチの山田祐生さん。
自身もフルマラソン2時間17分台で走るランナーです。
ローマは一日にして成らず!できるだけ練習頻度を増やしてコツコツ
冒頭でマラソンを完走するための期間は、
最低でも3ヶ月は走る必要があると書きましたが、
走る頻度も重要になってきます。
マラソン含め「長距離種目」という競技の特性上、
短期間で記録をぐんと伸ばすことは不可能に近いです。
それは技術的なスキルよりも、
体力的な要素がパフォーマンスを決める要素の大部分を占めるからです。
それだけ、マラソンという競技は、
日々の継続したトレーニングがものを言うのです。
ランプラスがオススメしているのは、
週4日以上はランニングの時間を作ること。
例えば…
平日は何もせずに週末に長距離をどかっと走るよりも、
週末はそんなに長い距離を走らなくても、平日にも少し走る。
こちらの方が必ず成果は出ます!
練習の頻度を週4回確保することがとても重要です!
運動の頻度はなぜ重要なのか?
人がトレーニングによって成長する要因の一つは、
「恒常性」と「適応性」です。
人の体は、一定に保とうとする「恒常性」と
刺激に対して、防御力を高めようとする「適応性」が備わっています。
一度風邪を引くと引きにくくなるのも適応性の一つ!
トレーニングを行うことによって、人の体は筋肉痛などが起きて体も疲れます。
しかし、次第に体は適応し、その運動刺激に耐えることができるようになります。
毎回毎回、疲労していては体が持ちません。
これが「刺激に対する適応」です。
しかし、人の体に備わる「恒常性」という性質が
一定を保とうとします。
運動を行っていない人の一定とは、何もしていない状態です。
トレーニングの刺激を加えてもすぐに元の、
運動をしていない状態の体に戻ろうとしてしまいます。(恒常性)
ですので、
自身の体を何もしていない人に戻ろうとする状態ではなく、
ランニングをしている人という状態にする必要があるのです。
ランニングをしている人という状態が一定の状態にする必要があるのです!
そのためトレーニング頻度が重要になってくるのです。
研究の結果では週に3日以上の有酸素運動により、
持久力の指標であるVo2maxが
優位に向上するというデータもあります。
また他の研究では、
1日1回のトレーニングと1日2回のトレーニング(総量は同じ)を比較した際に
1日2回に分けた方が体の適応は大きかったというデータもあります。
これは筋グリコーゲン(走るエネルギーの元)が減った=節約しなくては(=脂肪を利用)
というシグナルの増幅が考えらるそうです。
ゴールは42kmを走り切ること
皆さんの目標は、4ヶ月後に42kmを走ることです。
1回のランニングで42km走るために、
日数をかけてこのフルマラソンという距離に耐えれる体を作っていきます!
STEP1での目標は、毎日のジョギングで翌日足が疲れない状態を作ること!
走りはじめて、一番最初の目標は「ジョギング」で疲れない体を作ること!
「ジョギング」で疲れない体を作るには
・筋腱の結合組織の強化
・エネルギーをより効率的に作れる体つくり
が必要です。
これらの能力を向上させることで、長く走っても足が痛くならないし
キツくならない体が出来上がるのです。
・筋腱の結合組織の強化
走り出した序盤は、
楽にジョギングすることができるものの
一定長く走っていると
だんだんと関節や筋肉が痛くなってきて、
最後には走れなくなるほどの痛みになります。
いわゆる足が棒になる!
長く走っても疲れない体にするには
筋腱の結合組織を強くすること!
長くランニングを続けている人と、
はじめたての初心者ランナーの違いは
筋腱の結合組織の強さです。
アキレス腱などの関節をつなぐ靭帯は、
張力を使って関節に動きを作りますが、
初心者ランナーはベテランランナーに比較して
張力が弱いとされています。
その理由は単純で使っていないから。
反復して使用することでアキレス腱を代表とする腱や筋肉は、
強く頑丈になるのです。
長く走ることができるためには反復すること!
・エネルギーをより効率的に作れる体つくり
そもそも疲れる(走れなくなる)というのは
エネルギーを生み出すことができないということです。
マラソンを走るためのエネルギーを生み出すのは、
主に筋肉内のミトコンドリアです。
ミトコンドリアで酸素を利用してエネルギーを生み出すのですが、
鍛えられていない筋中のミトコンドリアでは
エネルギー生産効率が低いです。
体を動かすのに必要なエネルギー利用量が徐々に増えていくため
体は動かせなくなるのですが、
ミトコンドリアの生産効率が高ければ
理論上は永遠に走ることができるのです!
そしてこのミトコンドリアの生産効率は、
ゆっくりと長く走ることで向上させることができるのです。
ペースは気にせずゆっくり時間を稼ぎましょう!
上記でも書きましたが、
結合組織を強化し、ミトコンドリアを増やすためには
とにかくラクにできるだけかつ徐々に長く走れるようにすることが大事です。
強度よりも反復回数が重要!
ラクに感じるペースが歩くくらいのペースだとしたら
それでも大丈夫です。
※歩くペースでもいいですが、しっかり地面がどちらかの足は浮いている状態は作りましょう。
速く長く走る土台ができていない状態で速いペースで走ろうとすると、
マラソンにとって最も大事な長時間の運動をこなすことができません。
まずはゆっくりと自分が決めた距離・時間を
「これくらいならラクに走れる」というペースで走るようにします。
唯一注意点は、
前半のペースよりも後半のペースが落ちてはいけません。
後半が落ちてしまうようであれば、それは前半から頑張りすぎです!
次のジョギングではもっとペースを落として走りましょう。
例えば60分走るとした時に、
前半よりも後半の30分が遅くなってはダメです。
もし遅くなったとしたら、もっともっとペースを落として行います。
後半の方がペースが速いくらいがちょうどいいのです。
翌日疲労が残らないようになったら距離を伸ばす
トレーニングは1週間単位で考えて、
筋肉痛や、体の重だるさもなく
フレッシュな状態で翌週のトレーニングサイクルに走れるようになったら
少しづつ走る時間を伸ばすようにします。
1週間のトレーニングサイクルで考えて週末は休みを入れます。
翌週のトレーニングサイクルに入った時に筋肉痛や体の疲労が感じなくなったら
少しづつランニングの時間を増やしていきましょう。
1回のランニングで60分はラクに走れるようになるのは理想です!
最初は30分から始めてもOK!まずは徐々に距離を伸ばす!
具体的トレーニングプログラム
具体的なトレーニングプログラムをお伝えします!
まずは1日頑張ったら1日休むというサイクルで頑張ります。
おそらく最初は筋肉痛もひどくボロボロになるでしょう。
走った翌日のOFF日は翌日のランニングにフレッシュに臨めるようにしっかりと休みましょう。
2週間目も1週目と同じ内容で取り組みます。
おそらく1週目と比較するとだいぶ体はラクに感じ、
筋肉痛も来なくなってくると思います。
ここですぐにあげてはダメ!
2週間はできるだけ同じ内容をこなします。
続く3週目より少し時間を伸ばしてみましょう。
ランニングの量が増えた分、また体の負荷も高まり筋肉痛がまた出てくるかもしれません。
しかし、徐々に体は長く走ることに適応していきます。
またランニングの日の翌日に筋肉痛や疲労した体をランオフの日に回復させます。
1週間そのように過ごしていけば徐々に体は適応し筋肉痛はきづらくなります。
そうしたら筋肉疲労がこずにラクにランニングできる週を過ごします。
このようにして2週間サイクルで同じ練習を行い、
徐々にランニングの時間を伸ばしていきます。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | ||
1週目 | 30分 | OFF | 30分 | OFF | 30分 | 40分 | OFF | 筋肉痛 |
2週目 | 30分 | OFF | 30分 | OFF | 30分 | 40分 | OFF |
筋肉痛なくなった
|
3週目 | 30分 | OFF | 40分 | OFF | 40分 | 60分 | OFF | 筋肉痛 |
4週目 | 30分 | OFF | 40分 | OFF | 40分 | 60分 | OFF |
筋肉痛なくなった
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5週目 | 50分 | OFF | 60分 | OFF | 40分 | 60分 | OFF | 筋肉痛 |
6週目 | 50分 | OFF | 60分 | OFF | 40分 | 60分 | OFF |
筋肉痛なくなった
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7週目 | 60分 | OFF | 60分 | OFF | 40分 | 70分 | OFF | 筋肉痛 |
8週目 | 60分 | OFF | 60分 | OFF | 40分 | 70分 | OFF |
筋肉痛なくなった
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最後の週は練習の成果を確認!3km走チャレンジ
最後の週の週末に3km全力走チャレンジしてみましょう!
3kmを全力で走り、現在のタイムを把握します。
3kmのタイムというのは様々な生理学的効果を把握するための重要な指標となります。
ここで出したタイムで、目指すべきマラソンのタイムが把握できますし、
また、STEP2以降のトレーニング設定にも影響します。
しっかり頑張って走り切りましょう!
3kmってどんなペースで走ったらいいんだろう…
決められた距離を一定のペースで走りきるのは意外と難しいんです。
でも、とても大事な感覚!
なぜなら、
本番は42.195kmを一定のペースで走る
(つまり42kmかけて体力をゼロにする)わけですから
それよりも短い3km程度であれば尚更把握できていなければ
フルマラソンを一定で走ることなんて不可能です。
どのくらいのペースで走れば3km走り切った時に途中でペースダウンせずに
最後でしっかり力を出しきれるのかというのを考えて行なってみてください!
ここで行った3kmのタイムトライアルの結果から
【STEP2】のトレーニング内容が変わります!
ここまでトレーニングできたら次の【STEP2】に移りましょう!
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